墓地は遠方の為、いつか『墓じまい』や『改葬』をしないといけない状態です。
いつかはと言っている間に、主人が病に倒れそのまま帰らぬ人になってしまったのです。
先祖の墓のことも気に掛けながらも手が付けられず、
主人の入るお墓のことも疎遠になっているまま、
子供にも相談できずと、大きな心労の種となっていました。
とりあえず手頃で安価だったので、
お墓ではなくて『樹木葬』を選んでそこに主人の遺骨を納めました。
しかし、郷里のご先祖のお墓のことは、この時点でも手を付けられないままでした。
私としては、日頃より疎遠になっていた子供に相談や迷惑を掛けたくないという思いから、
独断でお墓を建てたりもせず、代わりに樹木葬を選択したのです。
主人の一周忌がやっと終わった頃、突然長男(一人息子)が心筋梗塞で倒れたと連絡が入り、
そのまま他界してしまいました。
まだ50代の息子が、思いもかけず親より先に亡くなったことも信じ難く、
私の中では大きな悔いとなりました。
長男の葬儀は嫁が取り仕切っていて、私はただ従うままでした。
そんな時、嫁から「お墓はどこにあるのですか?」と聞かれたのです。
お墓は建てずに樹木葬にしたこと、
遠方の郷里にお墓はあるがそのままにしていることを伝えると、嫁から、
「どうして相談してくれなかったのか」
「ご先祖様の供養をちゃんとしてあげていないから主人(長男)に不幸が降りかかった」
「今後また子供にも影響があったらどうするつもりか」
となじられました。
「一刻も早く、きちんとしてあげて下さい」
等々、と詰め寄られても、私には何も言い返す言葉もありませんでした。
嫁がほとんどを主導する形で郷里の先祖の墓の『墓じまい』を済ませました。
また、幸い本来は返還してもらえない『樹木葬』に収めた主人の遺骨も、
交渉の結果で、返還してもらえることとなりました。
お互いの住まいの近くで墓地を求めて墓石を建立して、
郷里の古い仏様をお移しし、併せて主人と長男の納骨を済ませることが出来ました。
肌合いも合わず折り合うことが難しく思われて、
日頃からコミュニケーションも途絶えがちだった嫁が、
これほど行動的でしっかりとしていたことには改めて驚かされましたが、
口ばかり達者な嫁と見くびっていたので、
どうせ相談したところでと、勝手に考えていたことも大間違いでした。
今度という今度は、年長でありながら、
大事な先祖のことをつい先送りにしてきて、
粗略にしてきた自分の生き方を心から反省をすることとなりました。
「少なからず気になっていたのに、ちゃんと解決しようとしなかったこと」
「そんなつもりもないままに、ついついご先祖様への供養を欠いてきたこと」
そんな態度が結果的に、大事な息子の忘れ形見である、
孫の将来にまでも影響しかねなかったと実感した次第です。
まさに「後悔先に立たず」の思いです。