ご自分は運が良いと思いますか?

正月の神社への初詣の参拝者は毎年増えているそうです。
そればかりでなく「運気の上がるパワースポット」巡りが話題になったり、
「風水にのっとった模様替え」をする人がいたり、朝のテレビでもスポーツ新聞でも、
「今日の運勢」とか「星占い」などは人気があり欠かせないもののようです。
多くの人が、何か見えない力であってもそこにすがりたい、ご利益を得たい、と願っています。

あるアンケート調査において、「ご自分は運が良いと思いますか?」という質問に対して、
約80%以上の方が「運が良い」と回答をしています。
そして何故そう思うのか?という質問への回答として、

「平凡だがこれまで大過なく生きてこれたから」
「大病を患ったのに回復し元気になったから」
「子供や孫たちに恵まれ一緒に同居できているから」
「良い友人知人がいるから」

といったものが多いのです。
これらの回答からうかがえるのは、これらの方々が今まで何気なく過ごしてきた過去においては、
その生活を陰に日向に家族が守り下支えして来てくれていたという事実があるのでしょう。
そのような存在があってこその自己肯定感であり、
そのような存在に支えられての楽観的な姿勢なのではないでしょうか。
そしてまた、無意識のうちのそのような楽観的で前向きのお気持ちが、
実際に本当の「運」を引き寄せてきた、ということがあるのかもしれませんね。

希薄になりつつある家族間の絆

このところ、家族間の絆も年々希薄になってきて、
離婚とか家族間の遺産を巡る争議などがとても増えて来ているということです。
家族同士が信頼し合う事ができなかったり、
互いを守り合うことが出来なくなってしまう現代という時代は恐ろしい時代です。
『パワースポット巡り』の流行も、そのような孤独感や孤立感を背景にするものなら、
ちょっと考えさせられる話ですね。
冷静になって良く考えてみれば、どんなパワースポットであっても、
本当に自分自身とその家族を無条件に守ってくれる存在としては、
それはいつも黙って遠くから見守り続けてくれているご自分のご先祖様の眠る場所こそが、
その方にとっての最高のパワースポットなのではないでしょうか。
最も深く、誰よりも強く私たちの幸せや安定した暮らしを願って守ってくれる存在があるとすれば、
それは間違いなく私たちのご先祖様ですね。

以前、ある墓石建立工事を担当させて頂いた折に、
そのお客様にご自身は、「運に恵まれた方」だと思いますか?と問うと、
即答で、「もちろん運が良かった」とお答えが返ってきました。
その理由を「自分がこの世に生を受けたこと」こそが最大の幸運なのだ、と仰いました。
そして「自分の無数の先祖たちの誰一人が欠けても、私は生まれてなかった」からだ、と。
「そもそも生まれてこなかったとしたら、幸運も感謝もないでしょう。」
と静かにおっしゃられたのでした。

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